エドヒガン 　バラ科サクラ属の落葉広葉樹。原種。本州の青森県から九州の鹿児島県、および韓国の済州島に分布する種。日本では広範囲に自生するが、石川県と千葉県のように自生集団が確認されていない地域もある。 　直径1mを超えるような巨木に成長し､老大木として国や地方自治体の天然記念物に指定されている個体も多い。春の彼岸ごろに花を咲かせることからヒガンザクラ（彼岸桜）、葉より先に花を咲かせることから「葉（歯）がない」との言葉遊びからウバザクラ（姥桜）の通称もある。 　樹高は普通12-20mで、30mを超えるものもある。高木で樹形は傘上。花期は3 - 4月。一重咲きの小輪の花（花の直径は約30mm）を咲かせ花色は花色は白色から紅色まで変異がある。葉は互生し、楕円形で長辺が5-10cm。花柱基部、小花柄、葉柄などに毛が多く、がく筒が丸く膨らむつぼ形である。葉が展開するより先に大量の小輪の花が咲くため見栄えが華やかであることが特徴であり、この大量の花が葉が展開するより先に咲く特徴がソメイヨシノやシダレザクラやヤエベニシダレに受け継がれている。 　また、成長は遅いが幹が堅く雪害や風害に強く腐りにくいためか、サクラの中では最も長寿であり巨樹に育ちやすいのも大きな特徴であり、長寿種としてはこれにヤマザクラが続く。そのため長寿な巨樹の一本桜が多く、一例として樹齢2000年超の神代桜、樹齢1500年超の淡墨桜、樹齢1000年の樽見の大ザクラ、樹齢300年越の石割桜などが有名である。またエドヒガンの栽培品種のベニシダレである樹齢1000年超の三春滝桜、エドヒガンとヤマザクラの種間雑種のカバザクラである樹齢800年の石戸蒲ザクラも、エドヒガンの長寿の特性を受け継いでいると考えられている。エドヒガンは長寿な分、発芽してから花が咲くまでに時間がかかり、樹高が10m程度に育って初めて花をつけ、場合によっては発芽から開花までに数十年かかる場合もある。 　神代桜、薄墨桜、三春滝桜は日本の三大桜である。