![]() セイヨウヒイラギは、古代ローマ時代から宗教的儀式に使われていた。冬至前後に催された農神祭(ローマ神話に登場する農耕神であるサートゥルヌスを祝した祭り)では、この木や枝を飾って翌年の豊かな収穫を祈った。冬に緑を保つ植物は神が宿る木と考えられ、また、とげのある常緑の葉には魔除けの力があるとして、ケルト人などは家の近くにこの木を植えて邪気を祓ったという。また赤い実は太陽の象徴でもあり、冬至の頃に最も勢いの衰える太陽の復活を祈る実でもあった。 紀元後には、キリスト教徒も利用するようになったが、とくにキリストが磔刑の際にかぶせられたイバラの冠をセイヨウヒイラギのリースに、キリストの血を赤い実に象徴させ、その神聖性はさらに増すようになる。クリスマスの時期にリースを飾るのも、キリストの加護のもと、来年の家族の幸福を祈るためだという。 英語名からホーリー(Holly)とも呼ばれるが、Hollyはモチノキ属の総称としても使われるので、区別するためにEuropean holly、English hollyともいう。 なお、日本に在来のヒイラギはとげの出た葉の形がよく似ているので混同されやすいが、モクセイ科に属し、実が黒紫色に熟す、全く別の植物である。 セイヨウヒイラギの棘のある葉と棘のない葉はどうしてできるのか? ![]() ![]() セイヨウヒイラギのように、同時に異なる形状の葉をつける現象を異形葉性と呼ぶ。このような現象がどうして起こるかスペインの科学研究最高評議会(CSIC)が調査を行った。 調査の段階で、一部の木には、野生のヤギやシカが食べたとみられる形跡があった。こうした木では、根元の近くから高さ2.5メートルまでの葉はトゲが多く、それより高い位置にある葉にはトゲがないものが増える傾向があった。研究チームはさらに、ヒイラギの木がこれほどまで迅速に葉の形を変えられる仕組みの解明を目指した。 その結果、動物による捕食とトゲのある葉の発生はDNA内でメチル化と呼ばれる化学的プロセスに関連性があることが判明した。 |