冬至にカボチャを食べると風邪を引かないとか中風にならないと言われるが、これは江戸時代から始まった風習である。 カボチャは夏の野菜なのに、冬至に食べるというのはおかしいようだが、保存が利いたカボチャは重宝されたのだろう。 緑黄色野菜の少ない冬にビタミンを摂ろうとした人々の知恵である。 カボチャはウリ科カボチャ属の蔓性一年草。熱帯アメリカ原産。雌雄同株。夏、葉腋に黄色い花が単生する。雌花の子房が40日ほどで大きくなりカボチャの実になる。 カボチャは16世紀にポルトガル船が豊後(大分県)に漂着し、領主の大友宗麟に種子が贈られ、それを栽培したのが始まりである。カンボジアから渡来したので「カンボチャ」と言われ、訛ってカボチャとなった。 寺島良安の『和漢三才図会』(1712)に、中国南京渡来の野菜だから「南京(ナンキン)」、唐の茄子(形から)だとして「唐茄子(トウナス)」と記載している。現在でも、関東ではトウナス、関西ではナンキンといっている。 カボチャは大きく分けて日本カボチャ(東洋種)、西洋カボチャ、ペポカボチャの3種類がある。日本カボチャはメキシコ南部から中米などの熱帯地域が原産、果肉がやや水っぽく、甘味は薄いが煮崩れしにくく、和食によく合う。16世紀に渡来したのは日本カボチャである。 西洋カボチャは南米の高原地帯原産、果肉がホクホクしていて甘味がのっている。日本カボチャに遅れて、西洋カボチャは1863年にアメリカから渡来し、北海道を中心に冷涼地で栽培されている。現在はこちらが主流になっている。日本のカボチャの生産量の約半数は北海道で生産されている。 ペポカボチャは観賞用でメキシコ南部の高冷地が原産である。甘味が薄く、食べてもまずいので、主に家畜の飼料や色や形が変わっているので観賞用にされる。ズッキーニやソウメンカボチャはペポカボチャの仲間である。 また、ハロウィーンで使われるカボチャもペポカボチャである。ハロウィーン発祥のイギリスでは提灯はカブやサトウダイコンが使われていたが、アメリカに渡ってからカボチャが使われるようになった。成長も早く外皮が硬く中身をくりぬきやすいカボチャに変わったと考えられる。 カボチャは病気に強く、低温でもよく育つので、ウリ科の植物であるスイカ、キュウリ、メロン、マクワなどのの台木としてよく使われる。 カボチャはカロチンやビタミンCを多く含む緑黄色野菜の一つである。ニンジンやホウレンソウには及ばないがブロッコリー並みの含有量を持つ。日本カボチャより、西洋カボチャの方がカロチンの含有量は高い。 カロチンは体内の活性化酸素の働きを抑制するので、細胞のガン化やコレステロールの血管への付着を防止するので、老人性疾患の予防効果がある。 漢方では種子を南瓜仁(なんがにん)といい、寄生虫の駆除に用いる。 また果肉のカロチンにはビタミンA効果がある。体内でビタミンが不足した時、カロチンはビタミンAに変化する。昔は、冬場のビタミンAの補給源として冬至カボチャと称し、果実を活用した。ビタミンAが欠けるど夜肓症(鳥目)および角膜の乾燥や潰瘍などになることがある。 作品は左からバターナッツ、アメリカで育種されたカボチャで日本カボチャの仲間である。中央がヒョウタンカボチャ、バターナッツと日本のカボチャの雑交配した物。右が鉄カブト、東洋種と西洋種の交配した物。 |