カラスウリ ウリ科カラスウリ属の蔓性多年草。北海道を除く日本各地の山野に自生。雌雄異株。葉腋に雌花は1個、雄花は数個つく。真夏の夜に白いあやしげな花(五弁花のへりが糸のように裂けている)を咲かせる。まるでレース編みのようだ。白色は夜にも目立つ色であり、レース編みのようなのは花を大きく見せようとするものだ。花は一日花で朝までにはしぼむ。この花を訪れるのは夜行性の大型の蛾であるスズメガによって花粉が運ばれる。 花後、雌花は楕円形の果実となる。果実は熟すまでは緑色で、周りに溶け込んで目立たない。秋に赤熟する。 カラスウリの蔓には粗毛があり、また巻きひげで他の木に絡みついて長く伸び、10m以上にもなるという。8月頃になると、蔓の先端は地上に向かって降りてきて、土の中に潜って根を出しイモを作る。翌年になると、このイモから蔓を出して成長する。このように種子だけでなく蔓からも子孫を増やす。 名前の由来は、 ① 食用にならないウリで、カラスが食べるだろうとされてこの名があるとする。 ② 唐から輸入された朱赤色で卵形の朱の原鉱である唐朱に類似しているためという。 ③ 唐から渡来した唐墨(朱墨)に似ているから。 黒褐色の種子は、結び文の形に似るので「玉梓/玉章(たまずさ)」と呼ぶ。また、「打ち出の小槌」にも喩えられ、財布に入れて携帯すると富みに通じる縁起物として扱われることもある。 種子は生薬名を王瓜仁(おうかにん)または王瓜根(おうかこん)といい、鎮咳、去痰などに用いられる。塊根は多量のデンプンの他に、ミナラル、アルギニン、コリンなどを含み、漢方では利尿、活血などを目的に処方される。民間療法では熟した果実の果汁と果肉を、しもやけ、肌荒れなどに利用する。 かつてアセモや湿疹に用いられた天瓜粉(てんかふん)はキカラスウリの塊根(イモ)から作られたものであるが、その代用としてカラスウリも利用された。 未熟な果実は塩漬け、みそ漬けにすると、食用になる。ただ、熟すと苦くなって食べられない。イモを細かく刻み、数日間水にさらし、あくを抜いて臼で搗き、布袋で揉み出して乾燥させた粉で餅を作った。 |