キバナコスモス(黄花コスモス)


  キバナコスモス

 美術館を開設した年(2000年)の春、庭にコスモスの種子を一杯播いた。それから毎日、たっぷりの水をかけ続けた。秋になって、庭一面に白、ピンク、赤のコスモスの花が咲き乱れた。花が咲き終わった後、しばらく時をおいて種子が出来るのを待ち、種子を採集し、翌年の春にそれを播いた。数年、繰り返した後、種子を採集し播くのを止めたが、コスモスはこぼれ種子だけで秋になると花を咲かせた。しかし、他の花も庭に植えたこともあり、徐々にコスモスの花は少なくなっていった。それでも毎年秋になると、コスモスの花が咲く。十年ほどたった頃、白、ピンク、赤以外に黄色のコスモスが咲いた。それはキバナコスモスだった。キバナコスモスの種子を播いた覚えはない。どこかから種子が飛んできたか、何かに混ざって播いたのかもしれない。そのキバナコスモスが毎年のように数を増やして咲き、いつしかコスモスと変わらぬ位の数になった。

 キバナコスモスはキク科コスモス属の一年草で、コスモスと同じ熱帯アメリカのメキシコ原産である。コスモスは標高2400~2700mのメキシコの高原地帯に自生しているが、キバナコスモスは1600m以下に自生する。そのせいか、キバナコスモスの方が早く咲き出す。
 キバナコスモスの茎は高さ30~100cm、無毛または硬い毛を散生する。葉は対生、濃緑色、下部のものは長い柄があり、三角状卵形、2回羽状に深裂、両面とも無毛、中・上部のものは無柄、1~2回羽状に深裂。花期は比較的長く、6月から11月にかけて直径3~5cm程度の黄色、またはオレンジの花を咲かせる。頭状花は橙色、8個の舌状花と多数の筒状花よりなる。舌状花は無性、筒状花は両性で花床に鱗片がある。果実はそう果、長いくちぱしの先に開出した2個の刺がある。
 キバナコスモスは普通のコスモス(オオハルシャギク)とは種が異なり、互いを交配することはできない。学名はコスモス・スルフレウス(Cosmos sulphureus)という。種名のスルフレウスとは「硫黄のような色の」という意味である。コスモスに比べて葉が幅広く、切れ込みが深いまた夏場の暑さに強いため、コスモスよりも早い時期に花を咲かせる傾向にある。

 コスモスは幕末に渡来したが、キバナコスモスは大正時代の初めに観賞用として渡来し、現在は野生化している。

キバナコスモスとコスモス(オオハルシャギク)の違いは、

「キバナコスモス」の葉は、切れ込みの裂片の幅も粗くて幅広ですが、「オオハルシャギク」(通称:コスモス)の対生葉の切れ込みの裂片は細かい線状になっている。

「キバナコスモス」の茎丈は、30~100cm(概ね60cm程度)程度しかないが、「オオハルシャギク」(通称:コスモス)の草丈は2~3mと高く、「キバナコスモス」よりも圧倒的に高い。

「キバナコスモス」の開花期間は、「オオハルシャギク」の開花期間(9月~10月)と比べて圧倒的に長く、6月~11月に掛けて次から次と咲き続ける。
夏場の暑さに強いため、オオハルシャギクよりも早い時期に花を咲かせる傾向にある。