チューリップ2

   
チューリップが開いたり閉じたりするのはなぜか?

 チューリップの花は朝になると開き、夕方には閉じる。しかし、朝の早い時間にはまだ閉じたままである。
太陽の光に反応しているわけではなさそうだ。
 チューリップは太陽が昇り、気温が高くなってくると、気温の上昇が刺激となって、開花するようだ。
 チューリップの花は、規則正しく、朝に開き夕方に閉じる。この開閉運動を約10日間繰り返す。そして、咲き始めと比べると、約2倍の大きさに成長している。
 
   


  この開閉の仕組みを解き明かしたのはイギリスの植物学者のウッドである。彼は1953年に、次のような実験を行った。1枚の分厚いチューリップの花びらを外側と内側の二層に切り分けて水に浮かべた。水の温度を上げていくと、内側の花びらは敏感に反応して急速に伸びだした。しかし、外側の花びらはゆっくりとしか伸びなかった。
 この結果は、「気温が上がると、花びらの内側が外側よりよく伸びるために、外側に反り返る。それが開花現象となる」という。 逆に、花びらを浮かべた水の温度を下げると、花びらの内側はほとんど伸びないのに外側は急速に伸びた。この結果は、「気温が下がると、花びらの外側が急速に伸びるのに内側はほとんど伸びないため、外側への反りがなくなる。それが閉花現象となる」という花の開閉のしくみが分かった。

 このしくみは、温度の変化が花びらの伸長を支配することを明らかにした。しかし、「花が開くときには花びらの内側がよく伸び、閉じるときには外側がよく伸びる」というしくみは、花が開いたり閉じたりするどんな花にも共通している。

 植物が光や熱などの刺激を受け葉や花弁を閉じたり開いたりする運動のことを「傾性運動」と呼ぶ。花が開く現象はこの性質で、温度が上がれば、花が開くときには、刺激となる熱を傾性の前につけて、「熱傾性」という。チューリップの花の開閉運動は、熱傾性の例である。光が当たると開くときには、「光傾性」という。

 チューリップはある報告では17〜25℃で開き、16〜8℃で閉じるようです。しかし、もっと低い温度で開くという報告もあるので、正確な実験条件や使用した品種などで比較しないと分からない。

                            「植物の生態図鑑」(学研教育出版)参照