令和5年12月8日(金)~令和6年3月5日(火)は「薬用植物」展を開催しています。
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ウツボグサ シソ科ウツボグサ属の多年草。日本全国の日当たりのいい草地に自生。高さ10~30cm、茎は四角形で全体に白い粗毛がある。茎葉は対生し、披針形、全体に細かい毛が密生し、シソ科植物に見られる特有の芳香はない。初夏に青紫色の花を茎の頂に固まって咲かせる。花の形が武士が矢を入れた靫(ウツボ)に似ていることからこの名がある。夏に花穂が枯れると黒くなるところから夏枯草(かごそう)という名がある。 解毒・消炎・利尿剤とし夏枯草湯(膀胱炎などに応用)などに配合されている。一般的には含まれるカリウム効果を利用する。 花穂を採集し、5~10%水煎液を作り、1日量として100~150ccを膀胱炎などに、毎食後服用する。江戸時代の書には「淋疾に効く」と書いてあるが、当時の淋疾とは膀胱炎のことである。それを間違え、そのまま現在の淋疾に効くと書いた薬草本もあるので要注意。 |
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オトギリソウ オトギリソウ科オトギリソウ属の多年草。 日本全土の山野に自生。7-9月に、黄色い五弁花をつける。一日花である。 オトギリソウは「弟切草」と書く。江戸時代の「和漢三才図会」によれば、晴頼という鷹匠が鷹の傷を治す秘薬としていたものを、弟が恋人に漏らしたため弟を切り殺した、そのためこの名が付けられたという。 切り傷、止血、打ち身に薬効有り。生葉の青汁を患部に塗布したり、葉を油に浸したものを塗布する。また、開花期の全草を採取し、干して保存しておき、随時煎じて、その煎液を塗布してもよいとされる。 |
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ジュズダマ イネ科ジュズダマ属の多年草。熱帯アジア原産。古くに日本に渡来し、全国の水辺に野生化している。果実のように見える固いつやのある苞鞘をつける。東南アジアでは、数珠玉として使っている。ジュズダマはハトムギの原種。この実で数珠を作ることからこの名がある。ジュズダマはハトムギの原種。この実で数珠を作ることからこの名がある。 果実には滋養、強壮、利尿、消炎などの薬効がある。 胃潰瘍・十二指腸潰瘍……オオバコ、ドクダミ、ヨモギ、ゲンノショウコ、時によりハコベを加え、この中にジュズダマ50個位をカナヅチで叩き、殼ごと入れ、これを一日分として煎じて、三回に分けて温服する。 いぼとり……ジュズダマを煎じて服用 |
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ドクダミ ドクダミ科ドクダミ属の多年草。本州から沖縄の日陰に群生。どこにでも生え、白い根茎は盛んに枝分かれして増える。茎は黒紫色で、高さ14~40cm。葉は卵状心臓形で暗紫色、長さ約5cm。 6~7月頃に、茎の上部から花穂を出し、中央に淡黄色の小さな花を穂状につける。穂の下に十字形の白い4弁の花を咲かせる。しかし、これは総苞片でである。ドクダミの名称は「毒矯(どくた)み」(毒を抑える)から来ている。 ドクダミを乾燥したものを十薬といい、解熱、解毒、利尿、胃腸薬に用いる。民間では煎じ茶を便秘症、膀胱炎などに用いる。生の葉は、火にあぶって柔らかくして、腫れものの吸い出しに用いる。 |
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ベニバナイチヤクソウ ツツジ科イチヤクソウ属の常緑多年草。中部以北の山地帯から高山帯下部の草地、低木林、林縁などに生育する。高さ10~20cm。 匍匐茎を横に這わせ、群生することが多い。根際から生える葉は円形ないし幅の広い楕円形で、3枚から5枚くらい生える。葉の縁には細かな鋸歯がある。 葉の質は分厚く、艶がある。 6~7月、葉の間から花茎を伸ばし、上部は総状花序となり、濃桃色の花を7輪から15輪くらい下向きに付ける。花径は13ミリくらいで、花冠は深く5つに裂ける。萼片は紅色で、5枚。雄しべは10本。葯(雄しべの花粉を入れる袋)の色は赤紫色である。 「一薬草」の名の由来は、一番よく効く薬草の意味である。 生薬名を鹿蹄草(ろくていそう)といい、強心や抗菌などの作用がある。 利尿作用をうながし、腎臓炎や脚気などのむくみをとるとされる。虫さされや傷の外用には生葉のしぼり汁を塗る。葉は常緑で年間を通じて生えているが、薬効が高いのは開花期。 |